ブログBlog
審美治療:セラミックインレー
2021年4月17日
こんにちは、院長の伊藤です。
一年前に入れた左上奥歯のセラミックの詰め物が欠けた、と来院されました。
虫歯を削ったところを白いセメントで埋めてありますが、虫歯が残っています。
う蝕検知液を使って虫歯を削っているところです。
(青いところが虫歯です)
削ったところをコンポジットレジンで埋め立て形成し、
シリコンを用いた精密印象を行ったのち、
セラミックインレーの試適を行います。
マイクロスコープでぴったりと合っていることが確認できましたので、
レジンセメントで装着します!
境目がほとんど分からない仕上がりです。
セラミックは虫歯になりにくいと説明されているかもしれませんが、
虫歯が残っていたり適合の悪いセラミックを入れていては、虫歯になってしまいます。
このような精度の高い治療をご希望される方はご相談ください。
噛むと痛い、とセカンドオピニオンで来院された患者さんのケース
2021年3月20日
こんにちは、院長の伊藤です。
○治療で1番大切なこと
それは診断です。
いくら技術があっても診断ができないと意味がありません。
当院ではマイクロスコープやCTがあるためか、他院に通院中の方がセカンドオピニオン目的で来ていただくことがあります。
大学院の保存科(虫歯や、根の治療を専門にする診療科)に在籍していたころ、開業医や他の専門診療室から難症例の依頼に加えて、痛みの原因についての診断依頼も多く行っていました。
そのため、診断には自信を持って診療を行なっています。
○歯の痛みの分類
歯の痛みには大きく分けて、
虫歯や歯周病などの【細菌】によるものと、噛み合わせなどの【力】によるものに分けられます。
今回は、力が原因で痛みが出たケースです。
○ケースレポート
①奥歯が冷たいものでしみる
②噛むと痛い、
といった症状があり、かかりつけの歯科では知覚過敏処置を行われたようです。
痛みがとれないため、原因が他にあるのではと、当院に来院いただきました。
お口の中を診察すると、確かに奥歯に歯肉退縮による知覚過敏を認めましたが、
知覚過敏で噛むと痛むことはありません。
高倍率の拡大鏡で診査すると、メタルインレーの入った一番奥歯にクラック(ひび)が入っており、
ここにコシのある綿を噛んでもらうと痛みが再現されました。
ひびを追及していくとかなり大きな虫歯が!
こういったケースは被せ物で覆ってあげると改善することが多いです。
知覚過敏処置と仮歯を作製し様子をみると、
知覚過敏、噛んだ時の痛みともに消失したので被せ物を入れました。
おそらく前医は肉眼での診察だったため、クラックに気づかなかったのかもしれません。
このまま知覚過敏処置のみ行っていたら、
いずれ神経を取る処置や、最悪抜歯になっていたと思います。
診断の大切さを実感するケースでした。
ラバーダムの重要性
2021年2月19日
こんにちは、院長の伊藤です。
虫歯や神経のトラブルは唾液中の細菌が原因です。
普通に治療をすると唾液まみれの中で治療をすることになるので、
当然再発も起こりやすくなります。
精密治療に欠かせない、ラバーダム防湿についてご説明します。
○ラバーダム防湿とは
ラバーダム防湿とは、写真のように治療する歯にクランプというバネをかけ、
ゴムのマスクをはることをいいます。
ラバーダムを貼ることにより簡易的なオペ室をお口の中に作ります。
○ラバーダム防湿のメリット
①唾液による感染を防ぐ
唾液は細菌の集まりです。
虫歯治療や根管治療は細菌を排除して綺麗な状態に回復する治療です。
ラバーダムをしないで治療を行うと、
治療しているところにどんどん唾液が侵入してしまい再発の原因になります。
②水分や呼気による湿度の上昇を防ぐ
詰め物などを装着する際に湿度が高いと接着力は落ちるため、良い結果は望めません。
ラバーダム防湿下での虫歯治療(ダイレクトボンディング)です。
接着力を損なうことなく、
精密な治療が可能です。
③殺菌力の強い薬剤を使用できる
④使用機材が喉に落下するのを防ぐ
⑤周囲粘膜を傷つけない
⑥治療する歯の消毒ができる
精密な治療を行うには欠かせないラバーダムですが、
保険診療ではラバーダムの算定がありません。
また、装着、消毒には時間がかかりますし、
虫歯がひどく根っこだけになってしまった歯の根管治療では、
隔壁といってコンポジットレジンで歯をビルドアップする必要があり、コストもかかります。
こういった点から、当院では基本的にはラバーダムを使用した治療は自由診療に限らせていただいております。
精密治療をご希望の方はご相談ください。
重度の虫歯でも神経を残す、Vital Pulp Therapy
2021年1月26日
こんにちは、院長の伊藤です。
今回は右上小臼歯にVital Pulp Therapy(歯髄保存療法)を行ったケースです。
古い詰め物が虫歯(←)になっています。
虫歯を削っていると神経が露出しました。
虫歯で失われた部分をコンポジットレジンで隔壁製作後、
ラバーダム下で虫歯により炎症を起こしている歯髄をマイクロスコープを用いて除去しました。
断面にMTAを貼付。
かなり深いところまで神経に炎症が及んでいましたが、レントゲンでしっかりと隔壁、MTAともに詰められていることが確認できます。
1ヶ月症状をみて、問題ないことを確認してセラミッククラウン(e.max)の形成
シリコンでの精密な型どり
- なるべく周りの歯と似せるため、
- 被せものを入れる予定の歯を、色の見本とともに写真を撮り、模型と一緒に技工士さんに送ります。
e.max(セラミック)クラウンをレジンセメントでセット!!
歯とセラミックの境目がほとんど分からない、精度の高い被せ物が入りました。
引き続き、症状とレントゲンで経過観察を行います!!
このような神経を保存する精密治療をご希望の方はぜひご相談ください。
精密根管治療:内部・外部吸収のケース
2021年1月6日
こんにちは、院長の伊藤です。
今回は内部・外部吸収により抜髄となった症例です。
※内部・外部吸収とは、破歯細胞が歯をむしゃむしゃと食べてしまう状態です。
○治療経過
左下奥歯が痛む、を主訴に来院されました。
治療を開始したところ、根管(神経・血管が入っている根っこの内部)とは違う場所を削っている最中に出血が見られたため、CT撮影を行いました
大きな吸収があり、一部根っこが薄くなっています。
患者さんには今後の選択肢として、
⑴吸収が起きている根っこ半分の抜歯(ヘミセクション)→ブリッジ
⑵保険の根の治療
⑶マイクロエンド
と、治療の選択肢をご説明したところ、
保険外のマイクロエンドを行うことになりました。
※ほまれ歯科医院では治療の選択肢を提示したうえで、ご一緒に治療プランを決定します!
吸収部位の感染象牙質をしっかりと除去し、まずは吸収部分をMTAで封鎖(黄色矢印)しました。
レントゲンでしっかりMTAが充填されたことを確認し、
痛みもすっかりなくなったので、根管充填を行いました。
根尖付近の湾曲部分にもしっかりとお薬が詰まっています!!
レジンコア→仮歯(プロビジョナルレストレーション)を入れ、
3ヶ月の経過観察。
最初は噛んだ時の痛みがありましたが、症状も消失したので、
シリコンにて精密印象!
印象内面をマイクロスコープで確認し、しっかりと型取りできている事を確認。
咬合の強い患者さんなので、ゴールドクラウンをset!
引き続き経過観察を行います。
マイクロスコープ、CTを用いた精密根管治療をご希望の方はご相談ください。
マイクロエンド〜精密根管治療〜 Part.2
2020年12月25日
こんにちは、院長の伊藤です。
今回は、精密根管治療(保険外診療)の続きです。
根管治療の成功率を上げるため、当院の精密根管治療で行なっていることは以下です。
①ラバーダムの使用
1番重要なことは、可能な限り無菌的に治療を行うことです。
根管治療はお口の中の細菌が相手です。
ラバーダムというゴムのマスクを貼ることで、お口の中にオペ室を作ります
②ニッケルチタンファイルの使用
根管の形態は非常に複雑に湾曲しています。
赤い箇所が根管です。
複雑にカーブしたり、途中で枝分かれをしています。
保険治療ではステンレスの器具を用いて根管内の汚れを取るのですが、
器具にしなりがない為に真っ直ぐに削れてしまい、
本来の形態が壊れてしまうことがあります。
そうなると成功率は半分以下に下がってしまいます。
この画像はニッケルチタンファイルですが、
非常に柔らかいため根管の湾曲に沿って
綺麗に清掃することが可能です!
非常に高価なため、保険治療では基本的に使用できません。
③まとまった治療時間の確保
根管治療の回数が増えると、仮蓋の脱落のリスク、細菌の根管内への侵入のリスクが増加し、根管治療の難易度が上がってしまいます。
保険治療では一回あたり15-20分程度ですが、
精密根管治療では一回あたりの治療時間を60分から90分確保する事で
治療回数を減らし、根管内の感染リスクを減らします。
④マイクロスコープの使用
根管内の汚れ具合、未探索の根管の有無、歯根破折などの精査が可能です。
保険治療でも使用しますが、保険では時間の制約上、確認程度となります。
○まとめ
根管治療はいいかげんにやっても患者さんには分からない治療ですが、
治療の不具合が抜歯へとつながってしまう、非常に大事な治療です。
そのため、海外では治療費が10万円を越します。
保険制度は非常に素晴らしい制度ですが、
3年前後で各種治療はやりかえが必要となることが多く、
結局は医療費の増加やQOLの低下につながることもあります。
やり直しが少なく、
精密な治療をご希望される方はご相談ください。
精密根管治療-マイクロエンド-①
2020年12月24日
こんにちは、院長の伊藤です。
今回は保険外診療にはなりますが、
マイクロエンド(精密根管治療)についてです。
○日本の保険での根管治療の成功率
下のグラフは何を表しているでしょうか?
これは東京医科歯科大に来院された患者さんの、根管治療を受けた歯の状態を評価したものです。
このグラフが何を表しているかというと、
根の治療を行なった約半数の歯の根っこの先に膿ができていたことを示しています。
つまり、保険の根の治療の成功率は50%にも満たない!
ということです。
なかなかショッキングな数字ですね。
○欧米の根管治療専門医が行う根管治療の成功率
根管治療(膿がない、初発症例) 90%以上
根管治療(膿がある) 80%
再根管治療 70%
再根管治療(膿がある、根っこの本来の形態が壊れている) 40−50%
ここから分かるのは、
①日本の保険治療とは成功率に大きく差がある
②治療を繰り返すほどどんどん成功率が下がる
ということです。
この差を埋めるために、当院では保険治療でも精一杯やっておりますが、
保険の根管治療は一回あたり何百円、という単価ですので、
時間的な制約、使用可能な機材の制約は避けられません。
ちなみに、
根の治療はやればやるだけ残る歯が少なくなりますので、一般的に3-4回で打ち止めになります。
その後は抜歯になってしまいます…
無駄に医療費をかけないためにも、
残っている歯を残すためにも、
いかに最初の段階でしっかりと費用をかけて精密な治療が出来るかにかかっていると当院では考えております。
保険の根管治療とマイクロエンドで何が違うのか、
次回ご説明します!!
仮歯〜プロビジョナルレストレーション
2020年12月9日
こんにちは、院長の伊藤です。
今回は仮歯についてです。
当医院では、最終的な補綴物を入れる前に仮歯/プロビジョナルレストレーションを入れます。
●目的
・見た目の回復
・かみ合わせのチェック
・根管治療を行った歯が違和感なく噛めるか?
・清掃性の評価
・歯の移動防止
・形成の状態と削除量の評価
・舌感
・発音
以上を仮歯の期間で確認し、
問題がなければ最終的な被せものの型取りに進んでいきます。
以下が当院で製作した仮歯(青矢印)です。
虫歯の再発を防ぐ精密治療-ダイレクトボンディング!!
2020年11月21日
こんにちは、院長の伊藤です。
今回は当院がお勧めする、ダイレクトボンディング(保険外診療になります)についてです。
○保険のコンポジットレジンとの違い
基本的なコンセプトは保険のコンポジットレジン(歯の色をしたプラスチックの詰め物)と同じですが、
違いとしては以下です。
①しっかりと治療時間を確保!
保険診療は国に定められた点数がありますので、
治療時間に制約があります。
ダイレクトボンディングは保険外診療になりますので、
1時間程度の時間を確保することで
よりクオリティの高い治療を提供します。
②虫歯の再発を防ぐ精密治療!
①とも関連しますが、
より歯を削らない、
より接着にこだわった精密治療が可能です。
③より綺麗な見た目!
数種類の色のレジンを重ねて使用することで、
より自然な見た目に作り上げます。
○他のメタルインレーや、セラミックインレーとの違い
①歯を削る量が最も少ない!
虫歯の部分のみ削ってその場で詰められるので、
最も歯に優しい治療です。
画像で比較すると違いが分かりますね!
②最も歯との接着が良い!
型取りが不要なため、仮蓋の期間がありません。
次の来院時までに起こるプラークの付着がないため、
削り立ての新鮮な歯に詰め物ができます。
③即日の治療が出来る!
④修理が出来る!
④金属アレルギーの心配がない!
○最後に
基本的に歯の治療は一回で終わることはなく、再治療の必要な時期がいずれ来ます。
また、歯の治療はやりかえの度に歯を削るため、何度も何度も行えません。
最初の治療がダイレクトボンディングであれば、次回もダイレクトボンディングを行えるかもしれません。
しかし最初から削る量の多いインレーにすると、
次は全周削る被せもの、
次は神経の治療、
次は抜歯…
と、どうしても歯の寿命は短くなってしまいます。
ダイレクトボンディングを行うことで可能な限りやり直しの時期を遅らせ、
また最小限の削る量に留めることで、
被せものになるのを少しでも遅らせることが大切と考えております。
なるべく歯を削りたくない、
神経を残した治療を受けたい、
マイクロスコープで治療を受けたい
とご希望の方はぜひご来院ください!
根の治療(根管治療)について
2020年11月10日
こんにちは、院長の伊藤です。
今回は根の治療(根管治療)についてです。
○根管治療とは
歯の根の中(根管)に侵入した細菌を可能な限り除去し、
再感染しないように根管内をお薬を使って封鎖する治療です。
家づくりに例えると、基礎工事にあたる重要な部分が、この根管治療です。
歯の将来を左右する非常に大事な治療なのですが、
患者さんにはどういった治療がされてるか分からない、
治療する側もよく見えない、
保険点数が低い、
といった理由で、なんとなくの治療で終わってしまっていることがあります。
根管治療を行ううえで大切なことは、
①ラバーダム
②マイクロスコープ
③CT
④治療後の被せ物の質
になります。
①ラバーダム
治療する歯の周りにゴムのマスクをかけることで、虫歯菌の多くいる唾液をシャットアウトし、きれいな環境での治療を行います。
お口の中にオペ室を作るイメージです。
※保険では症例によります。
②マイクロスコープ
歯の中は暗く小さいため、肉眼での精密な治療は不可能です。マイクロスコープと呼ばれる
歯科用顕微鏡を使用することで、しっかりと根の中を確認して精密な治療を行うことができます。
③CT
歯科医院で治療を受ける際、二次元のレントゲンを撮影しますが、
歯を支えてる骨はかなり厚いため、骨にできた膿(根尖病巣)の正確な把握は困難です。
CT撮影では任意の断面でスライス出来るので、治療する歯の根管の数、膿の状態をはっきりと確認することが可能です。
④治療後の被せ物の質
根の治療の成功を高めるのは、根の治療の質に加えて、その後の被せ物の質が大きく左右することが分かっています。
大きく違うのは⑴型取りの精度、⑵被せ物の材質です。
保険の型取り材料は変形しやすいため、被せ物の適合がいまいちになることがあります。
保険外ではシリコンを使用した、変形のほとんどない、正確な型取りを行えることでしっかりとフィットした被せ物が作れます。
ほまれ歯科では、使用できる材料や時間に限りはございますが、保険の根管治療でもしっかりと治療を行ってまいります。
他院で抜歯と宣告された、なかなか治らない、根の治療でお困りのことがございましたらご相談ください